売れるチームは犯人探しをしない。プロセスに問題があると考え、仮説を立て、改善し、検証を繰り返す。

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営業の本はたくさんあります。本屋に行けば営業・セールスの本だけで1つのコーナーができてしまうほどです。それほど悩みがあるということです。

一つひとつの本のタイトルをよくよく見てみると、その多くは個人の成功した事例、売れなかった自分があることをして売れるようになった、というビフォーアフターのものが多いように感じます。

圧倒的に少ないのはセールスチームに書かれた本です。セールスに関するチームを形成するためについて書かれた本が少ないのです。

会社に入って1人で仕事をすることのほうが珍しいです。2人になれば一つのチームとなり、3人いれば立派なチームです。それなのにセールスチームについて書かれた本が少ないのです。

私はボランティアで母校の中学のサッカー部のコーチを3年間勤めました。

私が受け持つ前は1年間1勝もしたことがないチームでした。
3年後、全国常連チームを破り、地区大会優勝を飾りました。

そのときのノウハウを持ってある営業チームに試したところ、いままで1件も売ったことがない人が売れるようになった、トークもままならなかった人が70人中1位の成績をとった、ある人は6ヶ月間コンスタントにベスト10をキープし続けた。

そんなことが起こりました。

サッカーの指導経験ときのノウハウを使って指導したのですが、好成績を残すことができました。

サッカーの指導でどんなことをしたかというと、

『心技体』を揃える
犯人探しをしない
徹底的にプロセス疑い変化させる

以上のことをしました。

サッカーにおいてもどの分野においても心技体の3つはとても大切です。

指導者の方、顧問の方はそれが大切だとわかっているのですが、具体的に何をすればよいかわかっていない方が多いようでした。

もしわかっていればチームを強くすることができるからです。

まずは心です。
心の分野は

目的
ビジョン
目標

モチベーション
メンタル

などの言葉であらわすことができます。

どんなにテクニックに優れていても、走るのが早くても、何のためにするのかわかっておらず、目標はなく、メンタルが壊れていたら結果はでません。

目的や目標は共有されていることが重要です。

次に技です。
技の分野は

技術
スキル
ナレッジ
戦術

などの言葉であらわすことができます。
心が整っていて体が強くても、具体的なボールを扱う技術、チーム戦術、守備のスキル、状況のよる攻め方などのスキルがなければ試合になりません。

次に体です。
体の分野は、

体力
アクション
オペレーション
ツール

などの言葉であらわすことができます。
心が強く、技術に優れていても、体力がない、状況に応じた動きができないなどができなければ勝てる試合も勝てなくなります。

ちなみに私がプレーヤーのときの特徴は、異常な負けず嫌いで1対1にしつこく付きまとい、声を出してチームを鼓舞し、ラグビーで鍛えた体力と腕力でエースを封じるセンターバックでした。しかし、ボールを扱う技術はチームで下から数えるほどテクニックはないに等しいプレーヤでした。

つまり、心と体は強いけど、技のレベルが低いプレーヤーでした。

もし、私のようなプレーヤーが11人だったら絶対勝てないチームだったでしょう。

しかしチームだからこそ私は活きることができました。チームの中には圧倒的にスキルに優れ、脚力に優れたプレーヤーがいました。もう一人のセンターバックは戦術眼が鋭く、また読みもよかったので、私はそのプレーヤーに全幅の信頼を置き、彼の指示通りに動きました。

さまざまな個性が集まり、力を合わせることによって2年連続で社会人リーグ優勝を飾ることができました。

同じ人などいません。
一人ひとり強みも違います。

だからいいんです。

私が指導したチームもとにかく心技体のバランスが上がるように、とくに『楽しく』『サッカーを好きになってもらう』ことを意識して指導しました。好きになると上手くなりたいと自然に思います。その想いを引き出すように指導しました。

技術においてはなぜこれをするのか、という『なぜ』『何のために』を繰り返し伝え指導しました。目的が共有されると自分は何をしたら良いのかが見えるからです。

体面においてはストレッチを重点的に取り入れ、楽しいけどしんどい練習をたくさんしました。楽しいからこそ続く辛い練習を行いました。

試合の後は、選手全員を集め良いところ、改善すべきところを話し合いました。
私から指摘するのではなく、選手たちからの発言してもらうよう雰囲気を作りました。

選手たちから出た改善点を日々の練習に取り入れます。そしてまた試合をして試してみて、改善してを繰り返しました。その繰り返しで強いチームを作っていったのです。

とにかく避けたことは『犯人探し』をすることです。チームがうまくいかない時、だれかのせいにしたがるものです。

たとえば0-3で負けた試合があるとします。
どうしても守備陣が悪いと責めたくなります。守備側に犯人がいると責めたくなります。

元名古屋グランパス、アーセナル監督のヴェンゲル監督の本にこのようなことが書かれていました。

点を取られると守備陣を責めたくなりますが、それは間違っています。攻撃陣が悪い場所で相手にボールを取られているため失点している可能性があるからです。
攻撃陣のリズムがよくなれば守備のリズムも良くなるのです。

攻撃も同じです。点が取れないのは守備陣が良い場所でボールを奪えていないため、よいボールが供給されないず点が取れないというのはサッカーではよくあることです。

何が言いたいかというと、原因は複合的にあるということです。大切なことはチームのバランスを上げることです。

私はこれを読んで深く感銘しました。これを知ってから犯人探しをやめました。

そのことをチームの皆にもよく話しました。どうやったらチームのバランスを上げられるのか。
どう攻撃したら守備のリズムが良くなるのか。
どう守ったら攻撃のリズムは良くなるのか。

そんなことを議題にしてチームでよく話し合いました。

チームが強くなるか弱くなるかはすべてプロセスにかかっています。

結果を変えたければ原因を変えるしかありません。

原因を変えたければプロセス、サッカーで言えば練習を変えないといけないのです。

そして練習したことを試合で試します。読んで字のごとく試し合いです。

試合をすると何が良くて何が課題だったのかがよく見えてきます。そしてプロセス、練習を課題に合わせて変化させていくのです。

仮説を立て、練習をして、試合をやってみて検証する。それの繰り返しです。

そうやっていくと必ずチーム力は上がってきます。そしてチーム力が上がってくると楽しくなります。強くなることが実感できるとモチベーションが上がります。

そのようにして心技体を磨くのです。

営業チームもまったく同じです。
心技体の分野のそれぞれプロセスを見える化して、向上していることが実感できればおのずとチーム力は上がり結果が出ます。そして仕事も楽しくなります。

たとえばショッピングセンターにおける学習ソフトの販売のあるプロセスを見える化した例です。

事前準備 → 声かけ → ヒアリング → 趣旨の説明 → プレゼン → クロージング

それぞれのプロセスに、

 目的
 実施内容
 ツール

があります。

一つひとつ(目的は?実施内容はそれでよかった?ツールは適切?)のプロセスを数値化していくのです。

そしてどこの何が問題だったのか。何を改善すればよいのか。仮説を立て、練習(ロープレ等)を実行して、お客さまの前で試して、検証する。

それを繰り返し、チームで共有していくと何が良くて何を改善するべきなのかが見えてきます。
改善されて結果が出てくると成長を感じることができ、仕事が楽しくなるのです。

営業チームで最悪なのはプロセスを見える化せずに

「売れないのは気合いが足りないからだ!」
「断られてからが仕事だ!何度も何度もやり続けろ!」

と精神論で追い詰めることです。

追い詰められて結果は出るのでしょうか。

追い詰められて結果が出るのであれば営業の本は本屋に並べられることはなくなるでしょう。

弱いサッカーのチームも同じです。
偉そうに座っている顧問やコーチが

「お前ら何してるんだ!もっと気合い入れろ!」
「なにモタモタしてるんだ!そこでシュートを打て!」
「なぜ俺の言う通りにしないんだ!」

気合いで勝てるんだったら苦労は入りません。
なぜ気合いが入らないのかを考えなければいけません。

結果がでないのは、プロセスに問題があるからなんです。
結果を変えたければ原因を変えなければいけません。

原因は人ではありません。プロセスです。

結果を出すためには原因を変えましょう。
原因はプロセスにあります。
プロセスを変えましょう。

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